こちらは有料会員サイトです。内容をSNSに貼り付けることや他人にシェアする等の行為はご遠慮ください。

ビートメイキングが楽しくない時期の付き合い方

会員コンテンツ

ビートメイキングが楽しくない時期は、誰にでも定期的に訪れるものだと思う。そこを「才能が尽きたサイン」だと決めつけるとしんどくなるので、「モードが切り替わった合図」として扱った方が、むしろ長く続けやすい。

そもそもビートを作る時間には、いくつかのモードがある。ひたすら触っているだけで楽しい遊びモード、スキルや知識を増やす修行モード、締切や案件に追われる仕事モード、そして距離を置く休憩モード。楽しくないと感じているときは、多くの場合、遊びモードのエネルギーが切れているのに、頭の中だけ「まだ楽しめるはず」と無理に押し続けている状態だ。このギャップが、「前みたいにワクワクしない」「もう自分はダメなんじゃないか」という感覚を強くしていく。

そんなときにやりがちなのが、「とにかく続けなきゃ」という発想。毎日1ビート、365日作り続ける、SNSに毎日投稿する、そういう目標はモチベーションが高いときには役立つ。ただ、楽しめていない状態のまま続けると、ビートメイキングそのものが嫌なものに変わってしまう危険もある。「今日は作らない」と決める勇気を一度自分に許可しておくと、ビートと自分との距離感がかなり楽になる。DAWを一切開かない日を作ってもいいし、作曲はせずにサンプル漁りだけする日、YouTubeで他人の制作動画をBGM感覚で眺める日、あるいはプロジェクトの整理やミックスの調整だけをやる日、そういう「作らないけど、まったく離れもしない」グラデーションの時間を用意しておくと、完全にゼロか百かにならずに済む。

それでも「なんか今日は少しは触りたい」という日には、完成を目指さないメニューに切り替えるのがいい。10分だけと時間を区切ってドラムだけ作る、1つのサンプルだけでどこまで遊べるか試す、普段絶対やらないジャンルのリズムを真似してみる、既存の曲をDAWに並べて構成だけコピーしてみる、こういう遊び方は、評価やクオリティを一旦横に置いて、好奇心だけで動ける。ゴールを「名曲」ではなく「ちょっとした発見」に置き直すと、ハードルがぐっと下がる。1個でも新しい気付きがあれば、その日のビートメイクは成功でいい。

長くやっていると、ルーティンが機械作業になってくる瞬間もある。同じテンポ、同じドラムキット、同じ構成で組み立てているうちに、感情より作業感のほうが強くなる。これは悪いことではないが、「また同じパターンか」という自分への飽きが、「楽しくない」というラベルに変換されることも多い。このフェーズでは、むしろ自分のルールを壊すほうが効く。いつもドラムから作るなら、今日はメロディから始めてみる。使ったことのないプラグインや音色を強制的に選ぶ。テンポをいつものレンジから極端に外してみる。すべてモノラルで組む、ローファイ前提で作る、逆に派手なEDM的なミックスで作ってみるなど、「普段の自分なら選ばない設定」を一度通過してみると、耳と脳がリセットされる。

もうひとつ大きいのは、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について
プロフィール
アバター画像

1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。Genx Recordsのオーナー。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。

genxnotesをフォローする
会員コンテンツ

コメント