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ビートの価値は自分ではなくリスナーとラッパーが決める

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ビートの価値は、自分ではなくリスナーとラッパーが決める。頭ではわかっていても、実際にビートを作っていると、この単純な事実をすぐ忘れる。

ビートメイカーの視点だけで見ると、価値の基準はどうしても「自分の理想のサウンド」になる。ミックスの細部、音色の選び方、展開の作り込み、リファレンスとの鳴りの差。
そういうものにこだわればこだわるほど、「このクオリティで金を取っていいのか?」という自問自答にハマっていく。

一方で、リスナーやラッパーはそんなところを見ていない。彼らが気にしているのは、もっと単純で生々しいところだ。

  • いまの自分のテンションに合っているか
  • 自分のフロウや声が気持ちよく乗るか
  • プレイリストの流れにハマるか
  • 自分の作品の世界観にフィットするか

つまり、彼らにとっての価値は「技術点」ではなく、「使える/刺さるかどうか」にある。

ビートメイカーは、自分の中の採点官を相手にしている限り、永遠に不合格を出し続けることができる。低域の処理、スネアの抜け、ラウドネス、ステレオ感。突き詰めようと思えばいくらでも粗が見つかるから、どこまでやっても「まだ足りない」と感じる。

一方で、リスナーはそのビートを「他の数十曲」と同じ土俵で聞いているだけだ。Playlistの中でスキップされずに最後まで流れたかどうか。ラッパーは、YouTubeでType Beatを探しながら、「いま書きたいリリックが勝手に出てくるかどうか」だけを基準にしていたりする。

その瞬間に、「作者が100点と思っているかどうか」は関係なくなる。60点だと思って出したビートでも、刺さる人間には100点満点になる。逆に、自分では渾身の1曲でも、誰にもハマらなければ市場では0点に近い。

価値の判断を自分の中だけで完結させようとすると、「出す前に自分でボツにする」割合がどんどん増える。そして、出さない限り、誰かの耳に届くこともない。その結果、「自分のビートは価値がない」という思い込みだけが強化されていく。

本来やるべき順番は逆だ。まず出す。出したうえで、反応を見る。数字とリアクションという形で、「外側の採点官」に一度ジャッジさせる。

再生数やDL数、プレイリスト入り、コメント、使用報告。それらはすべて、「自分以外の誰かが価値を感じた証拠」になる。自分が微妙だと思っていたビートが、なぜか一番伸びることもあるし、「これでいこう」と決めていた曲がまったく動かないこともある。

そこに正解・不正解はない。あるのは、「自分の感覚」と「外側の反応」のズレだけだ。このズレを受け入れられるかどうかが、ビートメイカーとして長く続けられるかどうかの分かれ目になる。

ビートの価値を決めるのが自分だと思っていると、どうしても値付けも怖くなる。「このクオリティにこの値段は高すぎるんじゃないか」と、自分で自分を値切ってしまう。だが、本来価格は、「この値段でも欲しいと言ってくれる人がいるかどうか」で決まるものだ。

ここから先は、「じゃあ実際にどうやって“外側に任せる”運用にしていくか」の話に入る。

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プロフィール
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1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。Genx Recordsのオーナー。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。

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