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AIで音楽を作る時代に残るものは「楽しいかどうか」だけだ

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AIが音楽を「いくらでも」作れるようになった時代に、私はようやく気づいた。何を作れるかより、「楽しいかどうか」のほうが、ずっと重要だということに。

Sunoのようなツールを使えば、条件さえ入力すれば良い感じのトラックはいくらでも出てくる。ジャンルもテンポも雰囲気も、こちらの指示通りに整えてくれる。数年前なら「夢のようだ」と喜んでいたはずの環境が、いまは当たり前になりつつある。

けれど、その「当たり前」の中で、ひとつだけ当たり前にならないものがある。それは「自分の心が本当に動いているかどうか」という感覚だ。

ヒップホップのビートを組んでいるとき、時間は早く過ぎてゆく。キックの位置を一つずらすだけで、グルーヴの重心が変わることを楽しめる。スネアの鳴り方を少し変えただけで、その日の自分のテンションにフィットしたり、外れたりする。ローファイのノイズを薄く足した瞬間、「おお!これだこれだ〜!」みたいに思える。

そのささいな変化を確かめるために、私は何度も再生しては設定を微妙に変更して、巻き戻してまたプレイしてみる。自分の音楽は耳の集中具合で、違って聴こえたりするのだ。だからわざわざ一日寝かせて、次の日に聞いて、「あぁ!ここは違うよね〜」と言いながら編集し直したりもする。その「違って聴こえる自分」を楽しんでいる時間こそが、私にとってのビートメイキングの醍醐味なのだ。

ここで、AIの話に戻る。

Sunoに「ヒップホップのインストを作って」と頼めば、数十秒でそれらしい曲はいくらでも生成される。しかも、一つが気に入らなければ、すぐに別バージョンを試せる。自分で1〜2時間かけて作る代わりに、待ち時間数十秒で済んでしまう。

すると、頭のどこかがささやき出す。「じゃあ、わしが作らなくても良いじゃん」と。でも、実際にSunoで量産していくとすぐに分かる。トラック数は増えていくのに、心が全然満たされないことに。「やっぱりそうか」、と私は思う。私が本当に欲しかったのは曲そのものではなく、作っている時間の方だったのだなと。

AIは、音を作る速度では人間をとっくに追い越してしまった。「クオリティ」という言葉で測れる部分も、これからどんどん上回っていくだろう。特に商業用と言われる音楽性を持つ音楽に関しては。再現性や安定性や効率などのそういう尺度では、ほとんどの分野で人間は勝てなくなっていくのはもう分かっている。

けれども、「ビートを作っている時にふふふとなってしまう自分」はどこにも行かないのだ。生きている限りね。

どの音を選ぶか、その音をどれだけ削るか、どこまでラフにするのかしないのか、その微妙な判断の積み重ねていくことで「うんうん、これは自分が作った曲だな」と感じることができるようになるわけだ。「ビートメイキングをやっている自分が好きかどうか」。結局のところ、創作の核はそこにしかないのだと私は思うよ。

AIで音楽を作る時代になって、色々と考えることが増えて難しくなったと思いきや、問いはむしろシンプルになったと言える。

「どんな音楽を作れるか?」ではなく、

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プロフィール
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1982年生まれ、日本人のビートメイカー・音楽プロデューサー。実験的なヒップホップビートを制作。Genx Recordsのオーナー。国際的な環境で育ったため英語が話せる。趣味は筋トレ、アートワーク制作、ウェブサイトカスタマイズ、Web3。韓国が大好き。

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